ナミプロ本インタビュー抜粋① 栗生みな編
- 山下菜美子プロデュース namipro
- 2019年4月24日
- 読了時間: 9分
更新日:2019年5月4日
ナミプロ本の入稿締め切りに追われる日々であります。
少しでも皆様にお届けしたい!ってことで、インタビュー記事を抜粋掲載しました。
第一回目は栗生みなさんです。
常日頃から、山下とはしょっちゅう演技論・演劇談議に花を咲かせておりますので、その雰囲気を少しでもお伝えできたら!

【栗生みな 出演経緯】
ナミプロ(以下N) ではまず、【漂白剤】ご出演の経緯を。
「断る意味がなかったですね。」
N 泣いちゃうよ、もうほんとに。嬉しいなあ。
「ナミさんが話があるって(笑)『何ですか』『一人芝居』『やります』みたいな(笑) 」
N そう!早かった!めちゃくちゃ返事が早かった(笑)詳細も聞かずに事務所は大丈夫かいって確認しちゃった(笑)
「内容とかも、まず私ナミさんの、その、芝居の感覚とかもめちゃくちゃ好きだったので」
N 嬉しい!
「スタッフさんとして寄り添ってくれる感が抜群に大好きなので、もう絶対に信じられるなっていうところからでした。」
N 嬉しい。もう泣いちゃう(笑)今までスタッフやってきてよかった(泣きそう)。
「お芝居好きな方だからナミさん。それがバシバシ伝わってくるのが。話してないのに(笑)」
N 遠い音響ブースから(笑)
「音で伝わってくるってすごい(笑)。っていうのがあったので、もう何も考えず、『やります』と。揺るがなかったです。
N 嬉しい。揺るがないって(噛みしめ中)。
「こういうこと無くて私。オファーとかいただいても『ちょっと考えます』って。すごい、あの、石橋を叩いて渡るタイプで。
N あ、そうなんだ。うちは即答だったから。え、めちゃくちゃ嬉しいんですけど。
「オファーとか、お仕事とか、貰った時点でめちゃくちゃ嬉しいんですけど。
まず、自分が自分でいいのかっていう点と、なぜこの人は私にオファーしたんだっていう事を考えちゃうし、《それ私じゃなくてもいいんじゃないかな》ってことも考えてしまうタイプなんですけど、完全に《やりたい!》ってなりました今回は。」
N 嬉しいわー。余計に嬉しい。

【良いものになるという確信】
「自分にしかできないものを作りたい!って(笑)だからまずナミさんが、少人数芝居やりたいってどこかで思ってたその一番最初が、女性の一人芝居っていうのが本当にすごく嬉しくて。一人芝居だと男性かな、人気の、みたいな」
N ああ、男性の出演者で女性のお客さんがメインの。その方が、今の業界の風潮として集客が読みやすいよね。
「そう。そういうところじゃなくて、その点でも、やりたいもの観たいものを先に持ってきて、色々な事をその後に考えるんだろうなって思いました。」
N その通りです(笑)今そこに直面しています(笑)
「私も、それは後々気付いたことですけど。自分が《やりたい》って思った理由は、多分ナミさんがやりたいと思った理由とリンクしたんだろうなって思います。良いものになるという確信もある、なぜか。」
N わかる。私も。ね、怖いよね、ちょっとそれ危険だなとも思っていて。こんな本気でガチでやってるぜ、みたいなことを、これからどうやってお客様に、まだチケット買ってない方々にアピールしていくべきか考えてるんだけど。新しいものを、前例ない新しいものを作ろうとしてるから。
「なんか、核がスカスカな舞台もあるんですよ。でも今回は、中身がしっかりって言うか、沸々してる段階で。練って練って練ってあとはどこで爆発するか。溢れるかんじっていうか。コップに水注いで表面張力がいつ溢れるかみたいなところが早く見たい。」
N 見たい。早く稽古したいね。すごい稽古が楽しみだし、そうやってただ乗っかるだけじゃなくて、すごく前のめりにワクワクしてくれてるから。栗生ちゃんの表情でわかる(笑)《核》っていう表現がすごく良いですね。素敵。なんかいろいろね、プロデュースをスタートさせようって思った時に、やりたい作品は色々あって、その中で一回目って名刺代わりになるから、絶対に妥協したり迎合したりチケット売ることを最優先に、儲け重視の売れるものを、みたいな事を一番に考えたら『終わる』と思ったし、やる意味無いって思ったの。
「********(※すみません伏せます)」

【ナミプロの名詞代わりになる作品を】
N 今、さりげなく毒を。冷たい顔で毒を吐いた人が目の前に。ピーかなー。伏字かなー。で、名刺代わりになる一作目を、100%自分のやりたい事?なんだろな、意思とか主義とか、理想みたいなものなのかな。そういうものでちゃんと作らないと恥ずかしいというか、後悔するかなと思って。一回目って。今後いろんなことをやっていきたいし、やっていくと思うんだけど。理想だけでご飯食べられないのも重々わかってるんだけど、なんかやっぱちょっと、企画をいざGoする前に揺らぐというか日和ると言うか。『これで大丈夫かな。迷惑かけないかな』とか。自分だけじゃなくて、みんなが幸せになれる方法を考えたいし、とか考えだすと、ちょっと心がぶれるっていうか。うん。安パイを取りそうになったりする瞬間もあったりするんだけど。やっぱりそういうことで作るものって魅力に欠けるっていうか、もちろん一生懸命作ることに変わりはないんだけど。やっぱり一発目にやるにあたって、何かを譲って妥協して日和って安パイの、本当にやりたい1番じゃなくて3番くらいを取るのってなんかちょっと違うんじゃないのっていうのがずっとあって。
「うんうん」
N なんかそれが嫌だったんだよね。だからもう一発目は、とにかくね。わかってんだ。こんな暗い辛い話。現実も辛いことがいっぱいあって、演劇観てる時ぐらい辛い現実忘れたいじゃん。だから楽しいエンタメ作品が流行ってるのも分かるし。そういう時代が来てね、それは今来たわけじゃなくてもっと前に、10年20年ぐらいの話で、世の中に娯楽とエンタメが溢れててスマホ見ればなんか楽しいことがいっぱいあって、みたいな時にやる演劇って何だろうって思ったら、やっぱり人間とちゃんと向き合わないと駄目なんじゃないかと。
「現実見ろよと(笑)非日常的ですけどね。」

【エンタメと非日常】
N うん。非日常的であるべきなんだよ【漂白剤】の世界観は。ダメなんだよ絶対【漂白剤】に出てくるこの人は。絶対ダメなんだって何があっても人の命を奪っちゃいけないんだから。例えばね、解釈は色々だから、あまり自分の解釈は言いたくないけど、《*****しちゃった》っていうことがあったとしよう。で、*******しちゃったんだからしょうがないじゃん、で終わりじゃなくて、何故彼女はこうなってしまったのかということを観てる側が受け取った上で、自分と彼女を鏡にすればいいと思うのね。で、同調してしまう危険性がある人は注意していただいて(笑)、全く私と違うっていうことであればしっかり自分を持っていただいてっていう。それはもう【漂白剤】に限らず、本来演劇ってそういうものであるし、なんでもそうやって作品は自分に返ってくるし。絵を見たってそうだし、写真見たってそうだし、小説読んだってそうだし、音楽だって。《楽しかった。おしまい。》じゃなくて、それから先の自分の人生に何かちょっとでも残るものをね、おこがましくもそういう作品をね、そういう作品が少ないなと思っちゃったりして。エンタメ、エンタメが悪いことじゃないの。素晴らしいコンテンツだし。楽しく、とにかく嫌な現実を忘れるような。絶対に必要なものだと思うから全然否定しないし。それはいずれ私もそういうものを作るかもしれないし、音響としてそういうジャンルのお仕事もさせていただくし。ただ、今はそういうものが多いから。溢れてるから、自分がお仕事させていただく上でもエンタメ系が多いかな、ってなってくると、ちょっと違うジャンルのものをやりたいなと。
「人間にしか出せないやつ(笑)最近AIとか映像的な、CGとか。機械とかアニメとかで人間本来の姿を内側まで表現できるかっていったら、多分まだ出来ないんですよ。でもそういう演劇が今流行ってるわけでもないし、言ってしまえば下火のポジションにあるから、そこの面白さを伝えられたらいいなって思います。」
N 人間だもんね、この【漂白剤】の人。すごい人間臭い。
「私はその中でも《女》っていうのを伝えたいんですよ。」
N いいね。最近演劇であんまり女女した、女の人の嫌な部分とか含めたそういうの少ないよね。
「でも私すごい寄り添ってるんでこの彼女に(笑)」
N (爆笑)早くも!早くも寄り添っている。

【女性の味方】
「もう、わかる、すごいわかる。正義正義。しょうがなかったんだよねって。私、完全に女性の味方なんで。普段仕事してる時とかも『いやそれは男の理屈だろう』みたいな。女性にはわかんないからそう言っても。男性と女性の感覚が全く違う、みたいな作品にも触れました。言い方で女性を追い詰めるとか、女性が弱く見られる原因とかも最近すごくわかって。全員じゃないんですけど、女性って自分自身と仕事を一体にする人が多いんですよ。芝居の世界だけかもしれないけど。男性は理屈。ダメ出しとかで女性と男性で意見が結構チグハグしている人はよく見かけます。男性の演出家さん、演者さんは理屈説明型なんですよ。それを受ける女性が感覚で演じていたとしたらもうパニックですよね(笑)」
N 共通言語が無い感じ?
「そうそう。でもそれをわかってない。」
N 男性の演出家は。誰だ!?(笑)。
「女性で、それが把握できて『そういうことなんだ』ってわかって発言できればいいですけど、出来ない女の子も多いじゃないですか。立場とかも含めて。そういう女の子に寄り添うことが今まで多かったですし、何しろ若い自分がそういう子だったので(笑)完全に一緒ですこの子。この【漂白剤】の子。ほんとは言いたいこといっぱいあったんだよ。我慢してたんだよ、ていう。」
N 面白い。
「という解釈で、今読んでます。自分が**っていう感覚までわかんないんで、友達がなってたらどうなんだろうって。それを相談されてたっていう体(てい)で読んでます。」
N なるほど。

「【漂白剤】は本当に、これは私の解釈ですけど、私は《**は女性が****た》っていうところをやりたい。」
N おー!じゃあ、ラストの解釈としていろんなパターンあるじゃん?****パターンと******パターンと。
「私はそのまま自分は******っていう(笑)」
N ****した奴は***ね。
「今のところですけどね。」
N 本当に自由でいいと思ってて、解釈に関して。演じ方も。4人の設定も、もちろん変えるし。同じ戯曲を4人の演者がやることによって全く違うことになるていう、芝居の面白さをやりたかったし。だから4キャストセット券も作ったし。絶対に観比べてみたら、どれも違ってみんな面白いですよって、私は自信をもって言えるし。
「そう思います。一緒に**人もいるんだろうな。…絶対私****」
N (爆笑)いいね、最高。
【栗生みな最高】
N 一人芝居についてはどう思いますか?栗生ちゃん的に。
「なんだろう、今パッと出てきたのは良い意味で独りよがりの世界なので、何の提示でも正解だから、自分の世界を見てもらえる、自分の嫌なとこも良いとこも全部出せるという感覚です。最近は良く見られたいとも全く思わないし、むしろ嫌われても良い。この感情でこれを伝えるのはキャラクターで、そのキャラクターでいられたら私は幸せ。それをお客さんが見て『この人いい役者だな』って思われたらそれはそれでラッキーだな程度なので、今回も別に嫌われてもいいし、これでどう思われてもいいから自分の全部をさらけ出せたらなぁと」
N 最高のコメントありがとう。これ宣伝で使いたいわ。最高だわ、栗生みな最高だなやっぱ。惚れてしまうわ。
―続く
ネタバレ、解釈に関わる言葉、などは伏せております。
ご了承くださいませ。
続きはナミプロ本でお楽しみください!
Comments